医療訴訟のリスクマネージメント

月例勉強会は、Harvard Risk Management Foundationの副理事長のDr. Satoさん(日系人、プレゼンは英語だけど、日本語も話せる)。彼の組織では、ハーバード関連病院の医療訴訟事務一切を取り仕切っている。関連病院の医者が訴えられると、彼らがサポートし続けるという仕組みである。

アメリカの医療訴訟は半端ではない。数も金額も日本とは桁が違う。さらに、日本のように国や病院を訴えることはなく、基本的に医師個人を相手に訴える。

さて、勉強会では、実際にあったケースを元に作れられたビデオを使ってディスカッションが行われた。英語が十分に話せないカップルが出産を控え産婦人科を訪れるのだが、そこでの病院での対応が悪いために、大変なことになってしまうというケース(実際には、お母さんがなくなってしまったらしい)。予約システムの不備、ERでのたらい回し、医師不足、技術不足な看護婦による心理不安、インフォームドコンセントなしの緊急手術、麻酔科と外科の対立、誤投薬などなど。でも、参加した医師たちは、口々に「日本でもアメリカでも、どこでも起こりうる話」という。

医療訴訟を恐れるあまり過剰医療→医療費高騰→保険会社の支払い拒否→医師・病院に対する不満増大、という負のスパイラルを断ち切るにはどうすればよいのか。日本にも同じ波が来ないことをひたすら祈るのみである。(今日はオチなし)