Commencement(卒業式)

6:00

起床。昨日の土砂降りが霧雨に変わっており、ちょっと喜ぶ。感動レベル低下に気がつく。

7:15

家をでてタクシーでハーバードヤード(ハーバード本部)へ。大学に近づくにつれ、着飾った卒業生たちの集団がそのへんあちこちにいる。

7:45

集合場所に到着。「8:05には来い」という学校からの命令に従順に従ったにもかかわらず、8:05になっても特に何が起こるわけでもなく、みなで写真を取り合いながら時間をつぶす。


9:15

ようやく式典会場の中に入れる。ちなみに大学の名誉のために言っておくと、8:30からスクールごとに入場が始まっており、うちの学校が入場するまで何もしないでいたわけではない。らしい。


9:30

唐突にアメリカ国歌が流れ、第355回の卒業式開始。アメリカにいる間に歌えるようになろうと思いつつ、結局、半分くらいしか覚えてないや。


9:40

卒業生代表挨拶。学部2名、院生1名。ちなみに学部のうちの一人はラテン語、1文字も何を言っているのか分からない(学部ではラテン語が必須らしく、彼らは大うけしていた)。院生の挨拶は、となりのロースクールの博士の方で、ネタが分かる人には面白い話だった。


10:00

スクールごとの学位授与式。各スクールの名前が呼ばれ、全員起立(と歓声、というか悲鳴)。スクールの学長が「うちの学校では、これこれこんなすばらしい教育を施し、こんなにすばらしい学生を育て上げたので、彼らにこんな学位を与えます」と言うと、サマーズ学長が「それはすばらしいですね。世のため人のためにがんばってください。承認します。」(本当は、もっといろいろ言っている)と言い、各スクールの学生が大騒ぎをする、という流れで進んでいく。

Candidates for the several degrees in Public Health will rise. The dean of the faculty of public health.


Dean Bloom-


Mr. president, fellows of Harvard College, Madam president and Members of the board of Overseers. As the dean of faculty of public health, I have the honor to present you these women and men each of whom has qualified for the master's degrees or the doctor's degree, and for leadership and improving public health.



President Summers-


By virtu of authority delegated to me, I confer you the degrees in public health which studied and qualified you, and declare that you are well prepared to advance the welfare people everywhere by the prevention of disease and promotion of health.


さて、ここでの見所は、舞台の上で言っているやりとりよりも、むしろ、スクールごとのマスコット。各スクールは、自分たちのスクールに合わせたマスコットを全員持っていて、それを振りかざしたり投げたりする。ざっと見た限り、

  • Business School: 自分の国の国旗とドル札
  • Law School: gavel (裁判官が持っているような小槌)
  • Educational School: 絵本(後日、学校に寄付するそうだ)
  • Kennedy School: 地球のビーチボール
  • Divinity School: バラ
  • Dental School: 歯磨き粉
  • Medical School: 包帯

DesignとExtensionの持っているものはなんだったのでしょうか。知っている人、おしえて。

さてそんな中、我がPublic Health Schoolのクラスアイテムは「鳥さん」。最初見たときはなにかと思ったけど、どうやら「鳥インフルエンザ」にちなんで選ばれたらしい。なんだかなー。


11:00

名誉博士号の授与。経歴を聞くと、それはもうすばらしい人なのだけど、いかんせん、知らない人ばっかり。寒いといって帰る人もちらほら。

11:30

式典終了。各スクール主催の式典に向かうべく、一団ちりじりに。ぼくはPublic Health School主催の式に参加すべくLongwoodにある大学に移動。

13:30

学部別に地下の大教室に集合。机の上にそれぞれの名前が書かれた大きな紙と発音記号が書かれた名前カードが置かれているので、自分の席に着席。そう、一ヶ月ほど前に大学から「卒業式で名前の発音を正確にするため、指定された留守番電話に自分の名前を吹き込んでおいてください」という連絡があり、その成果がこの紙ということ。卒業式の流れについて最後の授業を受ける。

 

14:30

卒業生の出身国の国旗が58枚飾られる巨大な会場に、大勢の卒業生のご家族や在校生が待ち受ける中、卒業生入場。今年のPublic Healthの卒業生は、修士課程が377人、博士課程が49人の合計426人。

 

14:45

Bloom学長からのありがたいお言葉。

I will leave you with the wish that you remember the values that brought you into public health and brought you here and remember the values that brought you through here. Thank you very much.

ところで、学長先生、スピーチの中で卒業生の何人かを紹介したのだが、その中の「卒業後にPublic Sectorで働くひと」というくだりで、ぼくも紹介してくれた。周りにいたみなにハイタッチを求められ、それはそれで嬉しいもの。

15:00

HSPH Commencement Speaker。アメリカの大学では、卒業式に有名人を呼んでスピーチをもらうということが一般的に行われている。うちの学校のSpeakerは、アメリカ米国疾病予防管理センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)のトップを勤めているDr. Julie Gerberdingさん。CDCとは、Public Healthの世界ではWHOと二分する影響力を持つほどの一大組織。

WikiPediaYouTubeの話なども混ぜながらの長いお話だったのですが、要するに、「自己満足に浸ることなく、自分の能力を過信することなく、また培ったネットワークを大切にして、世界のPublic Healthの課題に取り組んでください」ということ。以下、要約部分のみ転載。

And I think those three challenges, the challenge of complacency, the challenge of capacity, and the challenge of connectivity are all intersected in ways that bring you, as the leaders who will have to solve these big problems, right to the forefront. You’ve had many experiences working in these dimensions at Harvard and I hope that when you leave here today, you leave with the concept of the kind of connectivity that you will always maintain with each other because I can tell you something – I know the brain power to solve these problems is here in this room today. You’ve got an extraordinary faculty, one of the most talented global classes of brilliant young people will ever be privileged to stand in front. So don’t ever lose that vision, and no matter what you contribute to the network, be sure that you put the highest priority on your unique role and your responsibility as a meta-leader. Because that will make all the difference.

ところで、スピーチの最後に出てくる「make the difference」というフレーズは、ここHarvardではものすごく好まれて使われる言葉。思いっきり意訳をすると「世界を変えられる」というあたりか。

"You can make the difference"。できないできないと言っていても何も始まらない。まずは小さなことでも一人でもいいから始めないと。そしてそれが世界を変えるのですよ。そんな思いがこの短い一文に込められている。一生ずっと心に刻んでおこう。

15:30

一人ひとりに卒業証書が学長から渡される。名前を呼ばれ(返事はしません)壇上に上がり、学長や学部長と握手をするというもの。名前を呼ばれる度にテント中が大喝采となるあたりは、いかにもアメリカ的。また子供連れの学生は、たいてい子供を抱えて壇上にあがるのが微笑ましい。


16:30

1時間くらいかけて全卒業生一人ひとりに学位を授与して、無事に式は終了。その後そのまま、学校を開放してのレセプション。大きなホールに卒業生とその家族、それに先生方がつめかけ、会場は熱気むんむん。1歩歩くたびに、だれかから声がかかり、お互いに"Conglatulations!"と言い合いながらの最後の晩餐。

2年間、ずっとお世話になったアカデミックアドバイザーのDr. Jim Shine、学部長のDr. Douglas Dockeryなど、学部の重鎮方とも記念撮影。何十とこなしたチームプロジェクトのメンバーやクラスメート、そしてJapan Tripの参加者たちとも、「また世界のどこかで一緒に仕事をしよう」と声を掛け合いながらの写真撮影会。


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2年前の7月、同じ2年プログラムの友人と初めて学校を訪ねた時、HSPHの正面入口で写真を撮りながら、「2年後の卒業式の時にも、この同じ場所で正装して写真を撮ろう。」と約束をしました。あれから2年間、相変わらず英語は分からないし、テンションの高いアメリカ人パーティにはついていけないけど、多くの仲間に囲まれ、助けられながら、無事に卒業できました。みなさん、ありがとうございました。