今日、日本に帰国しました。


思い返せば2年前。成田空港の空港ラウンジで出発便を待っている間に、この日記を始めました。あれから2年、昨日、ちょうど60000カウントを数えたことを考えると、だいたい毎日のべ100名にお越しいただいていたことになります。

日記を書くときはいつも、僕のことを知らなく、かつ、ボストンのことを全く知らない人でも、なるべく楽しんで読めるように気をつけていました。昔からの文章作成能力の低さに加え(そもそも絶対的に平均以下)、僕の周りにはなぜかありえないくらいハイレベルな日記をつける方が多数おり(相対比較をするとさらなる落ち込み)、自分のレベルの低さ加減に落ち込むこともよくあったものです。どこまで楽しんでいただいたか自信は全くありませんが、息抜きのお手伝いができれば幸いです。

そうそう。日記という意味では、特に、コメントを書いていただいた方に深く感謝させていただきます。実は、コメント主の1/3 くらいは実際にはお会いしたことが無い人なのですが、そのような出会いもブログならではだと思っております。みなさんのコメントがなければ、2年間も続けることはできなかったでしょう。

あと、このようなツールを作り出し、無料で使わせてもらったはてなさんにも、この場を借りてお礼申し上げます。みなさんの仕事は確実にぼくの生活を豊かにしてくれましたよ、ありがとう。

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「ハーバードでなければ得られない『知識』はほとんどない」

入学当初、とある授業で言われた言葉です。確かにそのとおりだと思います。僕は日本のとある工学系大学院を卒業したのですが、そちらの授業のほうがよっぽど高度な内容を扱っていたと思いますし、そもそも知識なんてその気になれば日本でもどこでも学べるようなものだと思います。

では、2年間で1千万円近いお金を投資し、得られるものは何なんでしょうか。教授の話に戻ります。

「ハーバードの最大の財産。それはハーバードに集う人々。みなの貢献(contribution)こそがハーバードの力である」

昔、友人のブログに「ハーバードの集人力」という記事があり、うまいことを書いているなと感心したことがありましたが、まさにそのとおり、ハーバードという名の下に集まる人材こそがハーバードをハーバードたらしめている気がしてなりません。

その意味で、HSPH、ハーバードの各スクール、MITの仲間たちへ。みなさんと同じ時間をここボストンで過ごせたことを一生の誇りとしていきたいと思っています。尊敬できる多くの友人に囲まれた日々は幸せでした。ボストンに残る人、日本に戻る人、さらなる新天地で勝負を始める人と様々ですが、また世界のどこかで再開できる日を心から楽しみにしています。その時あなたに馬鹿にされないように、ぼくも一生懸命がんばりたいと思います。

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ハーバードの生活は刺激的でしたが、所詮、学生、drop outしたところで自分だけの問題です。この点、いつも心に引っかかっていて、自分が世界にどのような貢献をしているのかと聞かれると、黙り込んでしまいます。幸い、アメリカで出会った仲間たちが日本で海外で様々な取り組みを始めようとしています。ぼくも彼らと一緒に、今まで得た経験と知識を使って、社会に貢献できる活動を行っていきたいと思っているところです。

日本がアメリカに学ぶべきことはものすごく少ないと思っていますが、数少ないアメリカに見習うべき点に、プライベート時間を大切にするということがあると思います(まぁこれは賛否両論ですが)。留学前の社会人生活は、仕事だけで精一杯でしたが、それ以外にも胸を張ってこんな活動をしています!と言えるように努力したいと思っています。

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いろいろな方に聞かれているのですが、このブログは、この最終段落をもって一旦停止いたします。過去の文章を多少修正することはあるかもしれませんが、新規記事は追加しないつもりです。なんといっても「ボストンからのお便り」ですから。

新しいブログをどうするか。このサイトは、ボストン生活という非日常を伝えることにテーマ性を見いだしていたのですが、これからは普通の東京生活、主題の無い駄文をつらねることは多少の抵抗感を感じているのも事実です。とはいえ、多くの友人とのすばらしいコミュニケーションツールであることもこれまた事実。少し生活が落ち着いたら、ぼちぼちとスタートさせようかとぼんやり思っています。その際には、ここやmixi/greeなどで分かるようにいたしますので、また遊びにきてやってください。


2年間、ありがとうございました。See you somewhere in the world.

クラムチャウダーぱーちー

先日の日記が一部筋で好評だったのか、帰国前に「クラムチャウダーを食べてやろうではないかの会」が開催されました。

<レシピ>
ジャガイモ、にんじん、セロリ、ベーコン、玉ねぎを適当にバターでいためる。生クリームを適当に入れて煮込む。クラム(あさり)を適当に入れて、さらに煮込む。塩コショウで適当に味付けをする。食べる前に砕いたオイスタークラッカーを適当に入れるとさらに美味(でも、引越の最中の勢いあまって捨ててしまったため今日はなし)

思いつきで開催したパーティーだったにもかかわらず、10人以上の方が一瞬で集まり、皆、おせじで「おいしい、おいしい」と食べてくれました。持つべきものは優しい友達だと痛感した一晩でした。

最近よく聞かれること

1. いつボストンからいなくなるのですか?
→6/23の10:50発のAAシカゴ便で出発です。

2. どこに住むのですか?
→東京のどこかです。(別に隠しているわけではなく、本当に決まっていない)

3. 帰国後はどこで働くのですか?
→先日連絡があり、26階国会側で働くことになりました(すみません、関係者しか分からないですね)。

4. その仕事は留学で勉強したことが生かせそうですか?
→めっちゃ微妙な質問をありがとうございます。

5. クラムチャウダーは上手になりましたか?
→この前、ふらっとお越しいただいた方に差し上げたところ、意外と(!)好評でした。味の革新派の方は、物は試し、ぜひ当方までご連絡ください。

NY

卒業式の後、家族を連れてボストンとニューヨーク観光をしておりました。更新が途絶えてすみませんが、ぼちぼち書いていきますので、しばしおまちくださいませ。

あと、家財道具がほしい人、連絡いただければ、もれなく激安(もしくは無料)でお譲りいたしますです。

Commencement(卒業式)

6:00

起床。昨日の土砂降りが霧雨に変わっており、ちょっと喜ぶ。感動レベル低下に気がつく。

7:15

家をでてタクシーでハーバードヤード(ハーバード本部)へ。大学に近づくにつれ、着飾った卒業生たちの集団がそのへんあちこちにいる。

7:45

集合場所に到着。「8:05には来い」という学校からの命令に従順に従ったにもかかわらず、8:05になっても特に何が起こるわけでもなく、みなで写真を取り合いながら時間をつぶす。


9:15

ようやく式典会場の中に入れる。ちなみに大学の名誉のために言っておくと、8:30からスクールごとに入場が始まっており、うちの学校が入場するまで何もしないでいたわけではない。らしい。


9:30

唐突にアメリカ国歌が流れ、第355回の卒業式開始。アメリカにいる間に歌えるようになろうと思いつつ、結局、半分くらいしか覚えてないや。


9:40

卒業生代表挨拶。学部2名、院生1名。ちなみに学部のうちの一人はラテン語、1文字も何を言っているのか分からない(学部ではラテン語が必須らしく、彼らは大うけしていた)。院生の挨拶は、となりのロースクールの博士の方で、ネタが分かる人には面白い話だった。


10:00

スクールごとの学位授与式。各スクールの名前が呼ばれ、全員起立(と歓声、というか悲鳴)。スクールの学長が「うちの学校では、これこれこんなすばらしい教育を施し、こんなにすばらしい学生を育て上げたので、彼らにこんな学位を与えます」と言うと、サマーズ学長が「それはすばらしいですね。世のため人のためにがんばってください。承認します。」(本当は、もっといろいろ言っている)と言い、各スクールの学生が大騒ぎをする、という流れで進んでいく。

Candidates for the several degrees in Public Health will rise. The dean of the faculty of public health.


Dean Bloom-


Mr. president, fellows of Harvard College, Madam president and Members of the board of Overseers. As the dean of faculty of public health, I have the honor to present you these women and men each of whom has qualified for the master's degrees or the doctor's degree, and for leadership and improving public health.



President Summers-


By virtu of authority delegated to me, I confer you the degrees in public health which studied and qualified you, and declare that you are well prepared to advance the welfare people everywhere by the prevention of disease and promotion of health.


さて、ここでの見所は、舞台の上で言っているやりとりよりも、むしろ、スクールごとのマスコット。各スクールは、自分たちのスクールに合わせたマスコットを全員持っていて、それを振りかざしたり投げたりする。ざっと見た限り、

  • Business School: 自分の国の国旗とドル札
  • Law School: gavel (裁判官が持っているような小槌)
  • Educational School: 絵本(後日、学校に寄付するそうだ)
  • Kennedy School: 地球のビーチボール
  • Divinity School: バラ
  • Dental School: 歯磨き粉
  • Medical School: 包帯

DesignとExtensionの持っているものはなんだったのでしょうか。知っている人、おしえて。

さてそんな中、我がPublic Health Schoolのクラスアイテムは「鳥さん」。最初見たときはなにかと思ったけど、どうやら「鳥インフルエンザ」にちなんで選ばれたらしい。なんだかなー。


11:00

名誉博士号の授与。経歴を聞くと、それはもうすばらしい人なのだけど、いかんせん、知らない人ばっかり。寒いといって帰る人もちらほら。

11:30

式典終了。各スクール主催の式典に向かうべく、一団ちりじりに。ぼくはPublic Health School主催の式に参加すべくLongwoodにある大学に移動。

13:30

学部別に地下の大教室に集合。机の上にそれぞれの名前が書かれた大きな紙と発音記号が書かれた名前カードが置かれているので、自分の席に着席。そう、一ヶ月ほど前に大学から「卒業式で名前の発音を正確にするため、指定された留守番電話に自分の名前を吹き込んでおいてください」という連絡があり、その成果がこの紙ということ。卒業式の流れについて最後の授業を受ける。

 

14:30

卒業生の出身国の国旗が58枚飾られる巨大な会場に、大勢の卒業生のご家族や在校生が待ち受ける中、卒業生入場。今年のPublic Healthの卒業生は、修士課程が377人、博士課程が49人の合計426人。

 

14:45

Bloom学長からのありがたいお言葉。

I will leave you with the wish that you remember the values that brought you into public health and brought you here and remember the values that brought you through here. Thank you very much.

ところで、学長先生、スピーチの中で卒業生の何人かを紹介したのだが、その中の「卒業後にPublic Sectorで働くひと」というくだりで、ぼくも紹介してくれた。周りにいたみなにハイタッチを求められ、それはそれで嬉しいもの。

15:00

HSPH Commencement Speaker。アメリカの大学では、卒業式に有名人を呼んでスピーチをもらうということが一般的に行われている。うちの学校のSpeakerは、アメリカ米国疾病予防管理センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)のトップを勤めているDr. Julie Gerberdingさん。CDCとは、Public Healthの世界ではWHOと二分する影響力を持つほどの一大組織。

WikiPediaYouTubeの話なども混ぜながらの長いお話だったのですが、要するに、「自己満足に浸ることなく、自分の能力を過信することなく、また培ったネットワークを大切にして、世界のPublic Healthの課題に取り組んでください」ということ。以下、要約部分のみ転載。

And I think those three challenges, the challenge of complacency, the challenge of capacity, and the challenge of connectivity are all intersected in ways that bring you, as the leaders who will have to solve these big problems, right to the forefront. You’ve had many experiences working in these dimensions at Harvard and I hope that when you leave here today, you leave with the concept of the kind of connectivity that you will always maintain with each other because I can tell you something – I know the brain power to solve these problems is here in this room today. You’ve got an extraordinary faculty, one of the most talented global classes of brilliant young people will ever be privileged to stand in front. So don’t ever lose that vision, and no matter what you contribute to the network, be sure that you put the highest priority on your unique role and your responsibility as a meta-leader. Because that will make all the difference.

ところで、スピーチの最後に出てくる「make the difference」というフレーズは、ここHarvardではものすごく好まれて使われる言葉。思いっきり意訳をすると「世界を変えられる」というあたりか。

"You can make the difference"。できないできないと言っていても何も始まらない。まずは小さなことでも一人でもいいから始めないと。そしてそれが世界を変えるのですよ。そんな思いがこの短い一文に込められている。一生ずっと心に刻んでおこう。

15:30

一人ひとりに卒業証書が学長から渡される。名前を呼ばれ(返事はしません)壇上に上がり、学長や学部長と握手をするというもの。名前を呼ばれる度にテント中が大喝采となるあたりは、いかにもアメリカ的。また子供連れの学生は、たいてい子供を抱えて壇上にあがるのが微笑ましい。


16:30

1時間くらいかけて全卒業生一人ひとりに学位を授与して、無事に式は終了。その後そのまま、学校を開放してのレセプション。大きなホールに卒業生とその家族、それに先生方がつめかけ、会場は熱気むんむん。1歩歩くたびに、だれかから声がかかり、お互いに"Conglatulations!"と言い合いながらの最後の晩餐。

2年間、ずっとお世話になったアカデミックアドバイザーのDr. Jim Shine、学部長のDr. Douglas Dockeryなど、学部の重鎮方とも記念撮影。何十とこなしたチームプロジェクトのメンバーやクラスメート、そしてJapan Tripの参加者たちとも、「また世界のどこかで一緒に仕事をしよう」と声を掛け合いながらの写真撮影会。


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2年前の7月、同じ2年プログラムの友人と初めて学校を訪ねた時、HSPHの正面入口で写真を撮りながら、「2年後の卒業式の時にも、この同じ場所で正装して写真を撮ろう。」と約束をしました。あれから2年間、相変わらず英語は分からないし、テンションの高いアメリカ人パーティにはついていけないけど、多くの仲間に囲まれ、助けられながら、無事に卒業できました。みなさん、ありがとうございました。

卒業式前日

卒業式会場は着々と準備が進んでいましたが、ボストン地方は大雨でした。明日はどうなることやら。
下は卒業式会場のハーバード大学の真ん中の広場。掲げられているのは、各スクールの旗です。

ご家族訪問

今日からうちの実家の皆様がボストンにお越しになりました。

なぜか知らないけど、授業期間中よりも忙しい日々を送っているのに加え、ボストンガイド役が回ってきて、ただでさえ更新できていないこのサイトもますます危機的状況。いやでも、卒業式前だし、ちょっとがんばりますか。えぇ、がんばります。