リーダーシップ論

 お昼休み、マイケル・デュカキスさんが大学で講演会をしたので聞いてきました。その名も「リーダーシップ論」。
 ところで、デュカキス氏といえば、ブッシュパパと戦った大統領選での討論会が未だに語り草になっています。以下、基本データ。

 マイケル・デュカキス(Michael Dukakis、1933年11月3日 - )は、アメリカ合衆国の政治家である。1988年の大統領選挙で、民主党の候補として立候補するが、共和党ジョージ・H・W・ブッシュに敗れる。

 マサチューセッツ州知事としてのデュカキスは、破産状態だった財政を立て直すなど素晴らしい実績をあげた。しかもそれらは増税なしに行われた。マサチューセッツ州の消費税は、全米随一の安さである。産業は発展し、福祉の充実ぶりは目を見張るものだった。この成功は「マサチューセッツの奇跡」と呼ばれた。

 こうした輝かしい実績を背景にして大統領選挙に臨んだデュカキスは、順調に民主党の大統領候補としての指名を獲得。一時は共和党のブッシュに対して、世論調査による支持率で17パーセントもの大差をつけた。

 しかし本選挙では、ブッシュのネガティブ・キャンペーンによって、支持率は逆転された。次々と繰り出されるネガティブ・キャンペーンに、デュカキスは有効な対応が全くできずに敗れ去った。

『ブッシュは死刑制度を支持しています。デュカキスは死刑制度に反対しています。マサチューセッツ州では、殺人犯の一時帰休が認められています。ウィリー・ホートンは、強盗に入り、少年を19回も刺して殺しました。終身刑を受けたホートンは、10回もの一時帰休を認められ、その最中に逃亡し、若いカップルをさらいました。男性は殺され、女性は繰り返し強姦されました。殺人犯の一時帰休。これがデュカキスの政策です。』

これの衝撃的なテレビコマーシャルは、本選挙に入った9月以降、繰り返し放映された。世論に大反響を巻き起こし、デュカキスに深刻な打撃を与えた。

別バージョンもある。刑務所の出入口。回転ドアを通って、囚人たちが続々と入ってくる。反対側からは、囚人たちが続々と外に出て行く。そこに、「デュカキスがマサチューセッツでやったことを、国政で繰り返させてはいけない」というナレーションが入るのである。

マサチューセッツの奇跡」を成し遂げたデュカキスに対して、ブッシュには特にこれといった売りがなかった。そのブッシュがデュカキスに勝利できたのは、このテレビコマーシャルによるところが大きかったと言われる。

実は殺人犯の一時帰休制度は、デュカキスの前の知事が始めたものであり、しかも彼は共和党だった。デュカキスはそれを廃止したのである。そして、ブッシュのテキサス州はといえば、犯罪が激増し、刑務所は定員を大きくオーバーしていた。また、副大統領としてのブッシュは、1万人もの麻薬密売人の一時帰休を認め、中には帰休中に強姦・殺人を働いている者までいた。だが、こうした反論を行ったのは、テレビコマーシャルが流されてから1か月半もたってからだったため、有権者には全くアピールできずに終わった。

wikipedia

 「政治家は有能である必要はない。有能な人を近くにおけばよい」「とにかく人の話を良く聞け。listen listen and listen」「お金持ちになりたいなら政治家や役人になんて、ならないほうがいい。ただ、皆に幸せを与えられる唯一の仕事である」というシンプルなメッセージを冗談を交えながら分かりやすく伝える術は、さすが有能な政治家という感じでした。
 ちなみに、一番盛り上がったのは、当然ながらブッシュ親子の話題に触れたとき。辛辣な皮肉に場内大爆笑でした。

 久しぶりに良い話が聞けて満足、満足。

追記:ここから講演が聴けるようになりました。
http://www.hsph.harvard.edu/live/dukakis-9142005.html

追記その2:少しだけ文字起こしがされてました。
"If you want to make a lot of money, don't go into public service," he said. "Plan to live moderately and get your kicks from the great fulfillment and satisfaction that comes from being in a position to make a difference in the lives of your fellow citizens. There's nothing like it."
http://www.hsph.harvard.edu/now/sep30/dukakis.html