音楽療法

毎月恒例のボストン研究者交流会に参加。今日のお題は、あのリップルウッドで勤務されたあとにHarvard Business Schooに来られた岩瀬さん*1による「ハゲタカ?それとも日本経済の救世主?−買収ファンドの展望−」という投資キャピタルのお話 、もう一つは、数少ない日本人音楽療法士の灘田さん*2による「ミュージック・セラピー:音楽による癒しの世界」という豪華二本立て。

さて、岩瀬さんのバイアウト・ファンド(Buy Out Fund)の話も非常に面白かったのですが、それ以上に圧巻だったのが灘田さんの音楽療法

音楽療法とは「音楽を通じて自分自身を掘り下げこと」。 音楽を聴くことでself egoを広げて自分自身でも気がついていない深層心理に触れ、なにか自分の行動を制限しているような根本原因を見つけ出す手助けをする治療方法のことのようです。

実際に何をしたか。参加者全員は、10分間目を瞑り、音楽の中を自由に旅するよう言われます。ある種の瞑想状態に入ってクラシック音楽の調べに乗ってトラベルする。すると、普段の生活では思いつかないような、様々な情景が浮かんできます。それは自分が行ったところかもしれませんし、想像の世界かもしれません。その後、自分がみた風景を絵にして、自分がなぜそのようなところを旅したかを自分自身に問いかけてみる。そのような流れです(絵をセラピストの方が分析してくれるわけではありません。)

これ、実際にやってみると、思ったより難しいものです。「真っ白い世界に扉があって、その扉を開くと緑の道が広がっていて・・・」みたいな空想世界を期待していたのですが、思い出す風景のほとんどが、京都北山。大学時代に眺めた峠の風景が次々とでてきました。分析は・・・?分析しようがないっすね(笑)。

周りを眺めてみると、コタツに寝転がってテレビを見ている姿を思い浮かべた方、柔道をしていた方、方程式を解かれていた方・・・。そんな現実的なところを思い浮かべた方がいる一方、ファンタジーな世界を旅した人もいます。素直に音楽と同化できる能力を持ち合わせた方なのでしょうね。

でも、これだけの体験でも、なかなかインパクトある経験です。「音楽療法」でgoogleすると、リラクゼーションという単語が目に付きますが、これはそんなレベルではありません。自分探し中のひとは、やってみる価値があると思います。
きちんとセラピストの方と一対一で会話しながら旅すると、例えば、「部屋の地下室で魔女と出合った。これは幼少時代の怖い母親の記憶だと思う」など、具体的な深層心理に触れ、人生を変えるきっかけにできるでしょう。

*1:ハーバード界隈随一のアクセス数を誇る「ハーバード留学記」(http://hbslife.exblog.jp/)のオーナー

*2:http://totoatsuko.exblog.jp/