生物兵器テロ

  • 2005/02/03

 Grand Point市(人口130,000人)にあるSpring Valley College(学生3,000人)の生徒2名が、頭痛、発熱、下痢、寒気などを訴え、地元のRedwood Hospital(175床)に入院。

  • 2005/02/04

 新たに、生徒25名、近隣住民15名がRedwood Hospitalに同様の症状を訴え相次いで入院。昨日から入院している2名は肺炎を併発。17:00の時点でICU(救急治療室)は満床となり、総合病院であるMemorial Hospitalに緊急輸送を開始。
 入院患者のうち数名からインフルエンザ陽性反応が検出されたことから、病院側はインフルエンザの集団発生と考え、市保健局に連絡。保健局は関係機関に注意喚起。

  • 2005/02/05

 入院患者はさらに増え、午後には100人を突破。肺炎患者の数も急増。インフルエンザ反応を示さない患者も多いことから、患者の血清から原因菌の培養を試みるも、培地にはほとんど増殖はみられず、依然として原因は不明。
 市保健局は、なんらかの感染症が発生した可能性を否定できないものとして、Redwood Hospitalに疫学専門家担当者を送るとともに、近隣病院に対しても情報提供するとともに、同様の患者がいないかの情報収集を開始。また、市長に状況を報告。

  • 2005/02/06

 入院患者は250名を突破し、Redwood Hospitalの入院患者のうち6名が死亡。さらに、病院技術者数名が同様の症状を発症。いまだ原因は特定できず。Redwood Hospitalには通常のマスクしかないため、市当局に必要物資の提供を要請。市当局は州保健センターから必要な機材の手配を開始。
 一方、市長は本件について緊急記者会見を行い、市民に対して冷静な行動を呼びかけると共に、不要不急の外出を避けるよう要請。
 本件原因は不明であるものの、事件の可能性も排除できないものとして、警察が捜査を開始。また、炭疽菌の例にならい、郵便局は感染症対策を徹底。

  • 2005/02/07

 入院患者は400名を突破し、死者は36名。2/6日に死亡した患者より、野兎病の病原体が分離。警察は、本件を生物兵器を用いたバイオテロと認定し、FBIに応援要請。
 市保健局は、抗生物質連邦政府を通じて全州に要請するとともに、CDCなどに対して専門家の派遣を要請。一方、市長は知事と相談し、緊急事態宣言を発令。Spring Valley Collegeが野兎病の発生源と推定し、周辺一帯を完全封鎖し消毒を行うとともに、感染症の拡大を防ぐため、空港・幹線道を封鎖することを決定。しかしながら、市民はパニックに陥っており、市からの脱出を図るために幹線道路は大渋滞が発生。

  • 2005/02/08

 入院患者は620名(うち病院関係者18名)、死者は179名。

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 これは今日のバイオテロリズムの授業の中身です(内容はうる覚えなので、細かい点で間違えているかもしれませんが)。生徒は、大学当局、病院、市保健局、市長、メディア、警察、郵便局などに分かれ(それぞれ2〜5人で構成)、前方の大画面に刻々と流れる状況に応じて、大きな部屋を走り回り、それぞれの仕事をする、というものでした。

 ボクは「市保健局」のグループにいたのですが、第一報を受けたとき(2/4の午後)は「今年もインフルエンザの季節がやってきましたね」とのんきに話していたのですが、2/5には「なにか変だぞ」という雰囲気になり、2/6からはパニック状態でした。2/7セクションにもなると、殺気立った雰囲気で報告に来る大学・病院関係者、「お前らは安全でいいよな。郵便局員は実際に触るかもしれないんだぜ。なんでもいいから、早くマスクと手袋をよこせ」と郵便局から罵声、「はやく対応策をもってこい」という市長からは要請、「なにか情報は」というマスコミの相手に翻弄されました。
 そのへんの訓練なんかよりもよっぽど真剣にやっていたので、終わってみれば面白かったですが、最後の20分だけでたっぷり1週間分の体力を使い切ってしまいました。ただでさえ英語がわからんちゅーのに。

 まぁでも、神戸地震の話や香港や台湾のSARSの話、この前行ったNY州の9/11の話を聞くにつれ、実際は、こんなのではすまないのでしょう。それが天災だろうとテロだろうと。

 ちなみに、授業の最後に流れたその後のお話として、この事件は、大学を解雇された職員が、腹いせに、大学の屋上から農薬散布機で野兎菌をばら撒いたことによる事件、という設定になっていました。最終的には192名が死亡したとか(うち病院関係者38名)。